光と水と大地の詩

命 の 水
この丘の裏山に 小さな谷がある 山の中頃に湧き水があってな
一年中澄んだ水が流れておる 生き物の命の水じゃ
この国は幸せな国じゃ 命に溢れておる 山と川と空に
自然の恵が溢れておる わしがそう云うとな
呑気な風がこう云うんじゃ 「この国には 川というものは無い」
そう云うたんじゃ わしは 麓を流れる川を眺めて
あそこに有るではないか この国は 山という山から
みんな川となって流れておる 何処よりも川の多い国じゃとな
呑気な風は 応えずに行ってしもうた

が ある時思い出したように こう云うたんじゃ

「この国の川は 川ではない 滝じゃ!」とな
よその国に比べると 滝のように流れておるそうじゃ
降った雨が あっと云う間に海に流れ着くんじゃ
そう云えばそうかもしれん 山や森が幾ら水を貯めても
ほとんどは流れてしまう 海に還ってしまうんじゃ
「水は天より戴き 天に還る」
この星に初めて降った雨が 今も降っておるんじゃ
古よりこの星の水は なぁんも変わっておらん

増えもせんし 減りもせんのじゃ
汚れた水は 山と森と海がきれいにして また天に還すんじゃ
あの湧き水は わしが覚えておる限り 枯れたことはなかったのう