光と水と大地の詩

お天道様
この丘は その昔森じゃった
今でこそ わしが一人で立っておるが 大きな木が何本も
そこいら中に立っておった それは見事な森じゃった
ドングリを食べに いろいろな生き物が集まっておった
その中で生まれたわしは 運良く ぽっかりと空のあいた場所で
目覚めたんじゃ 一日にほんの少しだけ
お天道様が顔を見せてくれる場所でな

それからわしは お天道様だけを目指して大きゅうなった
わしのような小さなものが 大きな木の回りに
たくさん芽を出しておった 覚えておるのはそれだけじゃ
わしは お天道様だけを目指しておった
この森で 一番大きな木になったときは 有頂天じゃった
だから もっと近づこうと思ったんじゃ あのお天道様にな

今のように 誰かと話をしようなんて 考えたこともなかった
気がついてみると 森は 丘になっておった
亀に乗ったわけではないが 一人で立っておった
ひょっとすると 幻を見ていたんじゃろうか?
森の幻を このことは 今でも解けん わしの謎じゃ
お天道様は 知っているはずじゃが 教えてはくれん

判らん事をくよくよと考えても仕方のない事よ
この丘に一人で立っていることが わしの定めじゃ
住めば都と云うが 丘には丘の良さがあるんじゃ