光と水と大地の詩

唐 変 木
わしが何故 唐変木と呼ばれるか ご存じかな?
別にわしは 偏屈でも間抜けでもないが 云ってみれば
他人と同じ事が大嫌いじゃった
わしの仲間がまだ沢山おってな 若かった頃じゃ
毎年五月になると わしらは一斉に花をつけるんじゃ
薄黄色の小さな花じゃ この花が散ると
黒い小さな実をつけるのが わしらの生活じゃった

右を見ても左を見ても 精一杯に花を咲かせておる
誰に教わったわけでもないが いつの間にか花をつけて実をつけて・・・
その繰り返しじゃった
その頃のわしは なにしろ一寸でも お天道様に近づこうと思っておったから
仲間よりほんの少し大きかったんじゃ

それがあるとき 真っ黒な雲と一緒に雷様が暴れたんじゃ
このあたりを暴れ回って 最後にわしに一撃を食らわしたんじゃ
体の中をバリバリッと電気が走ってな 目の前が真っ白になってしもうた
長い間 根っこの先まで痺れておった それから 毎年五月になると
花をつけるこのクスノキの丘でのう わしだけが
いつまでも青いままじゃった
一本だけ花の咲かぬこのわしは
その時から唐変木と呼ばれるようになったんじゃ
仲間のおるうちには 花を咲かせることはできんじゃったが
今でも 雷様が通ると 根っこの先が痺れたような気がするんじゃが
これは後遺症かのう