光と水と大地の詩


わしは生き物が大好きじゃ
この丘には 大きなものは少ないが
ウサギもおるし たまには月夜に狸が出るんじゃ
裏山に餌取りに行った鳥たちも 夜にはわしの腕の中で眠っておる
虫たちもたくさんおるんじゃ

人間たちも 生き物が好きと見えて 夏は何と云っても蝉とりじゃ
この丘には わししか立っておらんから 子供たちがみんな集まってくるんじゃ
秋になると 鈴虫や松虫のきれいな声を聞きに来る
ついこの間までは 蝉とりの子供たちが
ワイワイガヤガヤ騒いでおったが やっとこの頃静かになったわい

この足元 土の中の根っこの回りには 来年出でくる蝉の子が
だいぶ大きゅうなって もう一年待っておるんじゃ
わしの根っこに吸い付いておるわい

蝉は賢いもんでのう ほんのひと夏 外へ出てくるだけじゃが
土の中から出たときには もう立派な大人になっておるんじゃ
子供たちに捕まった時には もう自分の役目はすましておる
次の世代をわしの体に生みつけてな
虫とは 小さな体で大したもんじゃ

この丘は 夏も秋も騒がしいが 虫にとっては恋の季節
わしは 大目に見ておるんじゃ